ここ最近はブーストに対して世間で騒がれ始めています。
私も過去に記事を書いていますが、その反響はランキングの正常化に貢献できたかどうかもわからないレベルでした。
[nlink url=”http://furuapp.net/boost-appstore/”]
しかし、やはり書く人が書けば世に与える影響力が違いますね。
[glink url=”http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150613-00046604/”]
この記事から一気に火がつき、大きなメディアでもブーストについて取り上げられるようになった印象です。
私の解釈はブーストは規約違反であり、ランキングが操作されれば、ユーザーにもメリットはないということから反対派です。
しかしながら、経済学的には自分の利益を最大化することが市場を浄化するという考えもあり、少しもやもやとした部分もありました。
が、とある記事を読んで腑に落ちた部分がありました。
その記事の中には、
誰か1人が100万円かけてランキングトップに躍り出れば、その人は短期的には得をするかも知れませんが、皆がお金を張り出した時点で、儲かるのは広告会社だけになる。全員がズルをしなければ、広告代かからなくてみんな平和ですよね。 操作されるランキング、僕ならこう戦う -日経ビジネス
とありました。
まさにこれは『囚人のジレンマ』なのではないかと思ったわけです。
囚人のジレンマとは、ゲーム理論や経済学における重要概念の一つで、「互いに協調する方が裏切り合うよりもよい結果になることが分かっていても、皆が自身の利益を優先している状況下では、互いに裏切りあってしまう」というようなジレンマを指す。 囚人のジレンマ -Wikipedia
そもそも、これも経済学の概念らしいのでアプリ界も例に漏れずといったところでしょうか。
囚人のジレンマは、囚人の司法取引を例に分かりやすく説明されることが多いのですが、面白そうなのでアプリ界に置き換えてみました。
アプリ開発者のジレンマ
アプリを売って儲けたいと考える開発者AとBがいました。
そこで、広告代理店は以下のような条件を提示しました。
- もし、開発者2人ともがブーストを行わなかったら、実力に見合った利益が得られる
- しかし、2人のうち1人だけがブーストすれば、そいつはすぐにランキングを駆け上がり利益を得られる。逆にブーストしなかった方は、全く利益が得られない
- ただし、2人ともブーストした場合、ブーストした金額に見合っただけ(もしくはそれ以下)の利益しか得られない
開発者AとBは互いに強制力のある合意を形成(ブーストしないことを契約する等)できない状況に置かれているとする。
この場合は、2人ともブーストしない方が無駄なお金を使うことなく、利益を得ることができる可能性があるにもかかわらず、どちらもブーストしてしまうことになります。
どちらかの立場になったときに、相手にブーストされるという疑念がある以上、こちらもブーストするのが最適な選択となってしまい、それは相手側にも同じことが言えるわけで、このような状況になってしまいます。
協調するという道
開発者ってこれだけ広告代理店に踊らされてるんですね・・・
ブーストは囚人のジレンマでいう裏切り行為にあたるわけですが、警官の立場である広告代理店が積極的に裏切り行為を促してくるというところに司法取引とは違う闇が垣間見えます。
しかしこの囚人のジレンマ。実は複数回行われる場合は結果が異なってくる場合もあるようです。
試行回数が有限であれば、囚人は必ず裏切るんですが、無限回の場合は協調する可能性があります。
最初の自分の行動から今後に得られる利益を期待値で計算すると、協調した方が得するという場合があるようです。
これがいわゆる談合というやつらしいですが、アプリ業界でいうと、すでに裏切りが発生してしまっているので、協調するという選択肢はもうないのかもしれません。
責任を転嫁するのはどうなの?
広告代理店はとりあえず置いておいて、開発者がブーストしてしまうというのは囚人のジレンマから考えると仕方がないといえるのかもしれません。
しかし、この状況を作り出したのは「プラットフォーマー(Apple、Google)が悪い」という意見もあるようです。
私にはただの責任転嫁に聞こえるのですが、違和感を持った人は他にもいると思います。
誰かが包丁で人を刺したとして、包丁作った会社が悪いって言ってるのと同じじゃないですかね?
その会社は人刺すなって規約で言ってるのにも関わらず、刺せるようになってるのがダメだろ。必要悪なんだって。
さすがにこの例は犯罪になるので極端かもしれませんが、プラットフォーマーに期待はしても責める気には私はなれません。
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